スロートレーニングでは筋肥大・筋力増強効果が認められますが、運動機能評価として最大歩行速度はやや改善の傾向が見られる程度にとどまってしまいます。
スロートレーニングに限らず、筋力トレーニングは動作の基盤となる筋力を上げる高い効果はありますが、動作のスキルを改善させる効果が期待できるものとはいえません。
介護予防として運動機能の向上を図るには、筋肉を大きく強くするスロートレーニングと併せて、その筋肉を実動作で上手に使う動作改善のトレーニングも必要となるでしょう。
動作改善の重要なポイント
動作改善の重要なポイントの一つとして「反動を使った」動作の巧みさがあげられます。
反動を巧みに使うことで筋・腱の弾性作用(バネ)を利用した「バネのある動き」を実現することができます。
アスリートの場合は、パフォーマンスアップのために筋トレに加えて、反動を使ったダイナミックなパワーを養成するプライオメトリックトレーニング(スクワットジャンプ・プッシュアップジャンプ等の目いっぱい反動を使った運動)がよく行われます。
アスリートではない高齢者に必要とされるのは、日常の生活動作の能力を改善すること、つまり立ち上がる、歩くといった基本動作を元気よくテキパキとできることです。
競技での高いパフォーマンスを求めているわけではありません。
ですから、プライオメトリックトレーニングのような激しい運動を行う必要はないのですが、「筋力を上げることと反動を使った動作の技術を上げることを組み合わせて行う」という考えは生活動作の能力の改善においても変わりません。
無理のない範囲で行う反動動作を強調した動作改善トレーニングを筋力強化のスロートレーニングと合わせて行うと良いでしょう。
「ロコモティブシンドローム」
生活習慣病予防という視点から「メタボリックシンドローム」という言葉が使われていますが、介護予防という視点から「ロコモティブシンドローム」という言葉も近年よく使われるようになってきています。
ロコモティブシンドロームとは、筋力やバランス能力の低下などによって自立した生活が困難になり、要介護となる危険性の高い状態を意味します。
ロコモティブシンドロームを回避するための筋力やバランス能力向上のたおめのトレーニングをロコモティブトレーニング(ロコトレ)といいます。
筋力強化のトレーニング、動作改善トレーニングともに重要な一つの要素となります。
無理のない範囲で行ってみましょう。
コメント