筋力がある人でも自転車に乗れなかったりするように、運動学習や運動制御理論から筋力増強運動を考えることは重要な要素となります。
運動を如何に巧みに行うかは神経系が如何に多くの筋を調整できるかにかかっており、それには強さの調節、時間配列、空間配列から考察することが重要となります。
つまり、運動の制御機構が上手く働いてこそ筋力の意味があることになります。
筋力はむしろ運動の効率性を求めている。
さらに人体機能は、てこの原理、モーメントの効率からもわかるように、日常生活、あるいは環境に適応するという目的のために、筋力はむしろ運動の効率性を求めています。
そういう意味では、日常生活においては筋力よりも運動制御のほうが重要であり、強さとしての本来の筋力は必要ないと考えても良いのでしょうが、筋力低下が起こればそれだけで滑らかな運動ができなくなりますし、滑らかな運動を行うためには筋力としての容量を最低限もっている必要があります。
動作の再獲得は、転倒予防においてより重要。
一方、バランス機能が低下している高齢者の移乗動作を見ると、バランス機能を補うように大腿部に手を置いたり、両足を開いたりして、動作はより安定した立ち上がり戦略を選択する場面をよくみます。
この時、運動の加速度は大きく、滑らかさよりは、むしろ硬さを描く傾向にあります。
このような戦略は筋力をより必要とする動作となります。
加齢によって筋力やバランス機能がさらに低下すれば立ち上がりは困難となり転倒する要因になるでしょう。
そのため、特に高齢者の移乗・移動動作のアプローチにおいてはその頻度をもっと多くすることはもちろんですが、この動作の再獲得は転倒予防においてより重要になるでしょう。
コメント