加齢は、関節周囲の結合組織の組織学的変化を伴い、つぎつぎに関節機能の物理的変化を生じます。
人間の加齢による影響には、いくつかの生理学的要因が明確に存在します。
組織が加齢する過程やその割合は個人差があり、組織により差が大きく見られます。
また、日常的な活動の強度や頻度、医学的、栄養学的な要因によって、プラスにもマイナスにもなります。
その他にも、加齢は、膠原線維やプロテオグリカンの置換や関節周囲の修復率の低下を伴うため、組織は関節に生じる力を最適に分散し活動を抑制します。
加齢に伴う影響
組織はしばしば微細な損傷を受けることがありますが、これは時間とともに蓄積され、潜在性の損傷を受けます。
これは構造的破壊や力学的に判定が可能な変化への進行へとつながります。
この現象の臨床例は、加齢に伴う肩関節の靭帯や関節包の劣化があります。
これら組織の構造的支持の低下は、結局、腱炎や腱板断裂に至ることがあります。
加齢に伴う影響はそれだけではありません。
加齢は結合組織内のグリコサミノグリカンによる組織弾性にも影響を与えます。
この変化は、結合組織の水分含量を減少させる水分結合能力の低下をもたらします。
老化した関節軟骨は水分含量が減少し、圧迫強度が低下することにより、軟骨下の骨に生じる力を分散させることができなくなります。
そのため、水分が喪失している関節軟骨は、骨関節炎を助長します。
水分が少ない靭帯では、互いの滑りが低下します。
その結果、靭帯内部の線維束は整列せず、速い力に最大に抵抗する能力が低下します。
これは、元来可動していた組織面で癒着を生じさせる可能性が高まることを示唆しています。
骨の加齢性変化
骨は加齢とともに弱っていきます。
その結果、骨形成の活動を減少させ、潜在的な骨髄細胞の生産を縮小させます。
老化した骨における結合組織代謝の変化は骨折治癒の遅延に寄与します。
その代謝変化は、骨梁と皮質骨を弱化させる老人性骨粗しょう症を男女ともにもたらすこととなります。
老化した関節周囲の結合組織および骨に対して、筋力トレーニングや身体活動を通じてその程度を緩和することができます。
これらの反応は、加齢していく人間に対して、多くのリハビリテーションの目的となり、治療原理の基礎となります。
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